カテゴリ : 2019年秋の研究 - 第3回方言漢字サミット
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2019/11/17
鶯谷駅から普通大船行き、秋葉原駅から普通千葉行きで帰宅しました
第3回方言漢字サミット懇親会の笹乃雪の豆富コース、絹揚、豆乳蒸し、うずみ豆富、ソルベで〆
第3回方言漢字サミット懇親会の笹乃雪の豆富コース、豆富白酢ソースにつけていただく生盛膾、冷奴、胡麻豆富、あんかけ豆富
散会後、八潮→北千住→日暮里と乗り継いで鶯谷駅で下車、すぐの老舗、笹乃雪さんで懇親会!
質疑応答・笹原先生総括のあとは抽選会
質疑応答
- 笹原「髭の下部を若い女性が「男」で書く、よく考えると女が入った漢字はたくさんあるのに男はあまりない、これは漢字を作ったのが男性だから。」
- 創作漢字について、岡墻「タピオカって漢字がSNSで拡散していた」大居「中国でも「成龍」の合字が作られた」萩原「誤字自警団よくない」「登記でお上が「第二水準にないのは書き換え可能」なのもよくはない」
笹原先生の総括
- 生活の中の地域文字は生活者が文字を自分のものにしようとしている過程、と須磨の発表でよくわかった
- いっぽうでUnicodeに入らない漢字は若い人には「見たことない」となる問題
- 釜萢弘→デビュー時にかまやつひろしになったのも経済であり金失と通じる
- よねざわさんという方がTwitterで全国の幽霊文字をめぐって写真で報告してくれている、研究者はなかなか外に出られない、こうやって裾野が広がっている (はずかしすぎる紹介のされ方、、、)
- 大居さんの研究は「地域の数だけ文字の話はある」好例
- 萩原さんの研究も看板というのはどんどんなくなっていくのでよい記録みなさんもどうぞ
- ビャンビャン麺の漢字はせいぜい百年w
- 昼間さんのせん「べ」い研究は、変体仮名の地域性の研究としてきわめて貴重
抽選会ではよねざわは無事ハズレました(笑)
第5発表、昼間良次さん「草加せんべいの 地域に見られる「べ」の異体仮名」
草加せんべいの2店で「当店にはございません」と言われたがちゃんと「べ」の異体仮名表記ラベルの煎餅が売られていた(店員さんからラベルが見えない)。草加市の44店舗アンケ「歴史」「上級感」「固さ・香りの表現」「草加と不可分」「草加という字体とバランスがよい」
板橋や柴又帝釈天、成田山参道でも「べ」異体仮名。いっぽう三河えびせんべいは馬鈴薯澱粉なのでひらがな表記(「い」を「以」にしたのが1店)、南部せんべいも八百津せんべいもなし、長崎県では「せんぺい」もある
草加せんべいで異体仮名「べ」(遍のくずし)を使う理由は今のところ解明できず。地域に根づいているのは間違いなく、今後も追求。また草加せんべいのようなコメ煎餅は全国的には少数派だとわかった。
第4発表、萩原匡祐さん「企業のロゴや商業登記からの調査報告」
第3発表、大居司さんの「地名における字の転訛?」
地元「大鳥居」紹介サイトに「大鳥原」説が紹介、「変わっていない」地名漢字にも変わった歴史があるのではないか? 例えば垳は圻は転訛したと笹原推論、しかし見慣れた字は転訛するのか?
現大津市大鳥居が大鳥原だった根拠に関連する金勝寺四至勢図(写本・鎌倉中期か桃山に成立)には確かに「大鳥原」とあるが、他の地名に複数の誤字、元の絵図はかなりの草書でそれを写す際の誤字である可能性が高い
笹原・岡墻講演の質疑応答
「多摩」と「多磨」の表記差について
岡墻「多摩では「广+マ」表記が多いが須磨ではこれは皆無」
笹原「多磨霊園は霊園だから石説があるが研究があまりない」
福井県の須波阿須疑神社で片方がさんずいの表記がある
岡墻「同じ文字を繰り返したくないとして敢えて別の字体を使うことがある」
笹原「人名で吉土口さんと土口吉さんがいるが読みは「きちよし」「よしきち」で揺れていない」
第2講演、岡墻(おかがき)裕剛さん「神戸市須磨区の地名表記に見る方言漢字について」
達筆なのに「須ナ」? 磨の筆記体
「磨」は「广」と書かれる、テ・ナにも。略字?(中国では「广」は「廣」の略字) 「須磨」は現在は兵庫県神戸市西部の地名、「すま」は万葉集にすでに存在、名所旧跡で石碑歌碑多し、よって漢字の位相・年代・地域差の研究に適材
「須」は「あごひげ」「ねがう」、固有名詞に多い 「磨」は「みがく」、どちらも好字を当てた。どちらも常用漢字で書ける人が多い、 康熙字典でも同じ字、HNG(漢字字体規範史DB)では「須」は中国ではさんずい、「磨」は揺れない。
拾遺和歌集では「須」は判読不能、「磨」は「广」になってる、江戸時代は「須」はさんずい多く「磨」は「磨」か「广」。須磨寺の12世紀からの記録ではさんずいとさんづくりが棲み分け、「摩」も近世にあるが「護摩」からの「广」経由の混入か。
古くは揺れたが室町以降は「須磨」基本、字体は「須」はさんずい多し、「磨」は广も多い、手書きでは「广」からバランスをとって「ナ」になりがち。「广」は歴史的によくある字体、須磨地域ではよく書く(周辺では理解されない)、須磨地域の方言漢字だとしてよい
笹原先生の基調講演…えーもこれはなんなんでしょうか、、、
「方言漢字」=地域性を持つ漢字、字種、字体、字音字訓、字義用法、表記、頻度使用傾向。「函の最初の画が了」、谷の「や」や城の「しろ」は方言読み、鮨寿し鮓、「鰰」は漢検一級者か秋田県人しか読めない、釦は関東だけ、人名に海使うのは沖縄が多くて長野が少ない
方言漢字ニュース:臼杵市長「臼は3人に1人が誤字、観光アピール可能」戸籍統一文字で「十の左上に十」木(ととき)さんが誤字扱い、「幼女」合字の論拠「雑俳」、「車山」合字は大垣市で普遍、鹿児島の女子学生は「薗」を「?口」と書く、梅田駅が大阪梅田駅に改名されたが「口メ」維持されたw、「ヶ谷スタンプラリー」「市川ママ」話題に、「方言文字」辞書に収録、SNSで話題に、中国の方言漢字について中国の研究者と情報交換、北海道では調理した海老を「蛯」と書く
方言文字の仮名への波及:「さ」がつながってるかどうか、「止まれ」にも字形差、「那ハ」表記=地域的交ぜ書き、方言仮名「さ゜」「イ゜」、変体仮名にも地域性、○1を山形では「いちまる」と読む
いやはや、笹原先生にもきちんとご挨拶できましたし(いや、厳密に言えば先生の方からお声をおかけいただいてしまいました)、なんと大学時代の大先輩にお声をかけられまして(演者のお一人とご親戚だそうで来られて、笹原先生の講演の中で「よねざわの名前が出てるなぁ」と思われてたそうでして)、世の中狭い((((;゚Д゚))))))) そして漢字に情熱を傾けておられる同志のみなさんとお話もできて、本当にありがとうございました!
来年には第4回が必ず開催されるとの昼間事務局長のお話でしたので、よねざわ、また参加いたします!\(^o^)/