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2019/10/06

シンポジウム3「セックスワーク:論じられてこなかった視点とは何か」

「性産業における<ヘテロセクシュアル男性研究の不在問題>」赤谷まりえ(編集ライター)

食と性をよく扱う、自称「二大欲求ライター」w ランドセルの色でジェンダーを意識する 雑誌の仕事をするにあたって、雑誌にもジェンダー別があることを意識する 高校生の時に「女が生徒会長になるのはどうか」と男性教員に言われる、たった18年前の庄内 大学院での研究途中にライター業にのめりこみ中退、修士はとっときゃよかった 飲食店の取材を通して障がい者バリアーを感じ、ガイドブック化

セックスワークという語 87年のアメリカの本 93年翻訳 その後取り組みが高まる すでに国際的には定着した語だが、日本語で言う「セックスワーク」という概念にはまだ議論が必要

WHOの定義、セックスやセクシャルサービスをお金や物と交換すること 「他称」(本人がそうと意識していなくても)sex workもあり

日本では「挿入がない」サービスがたいへん多く、「セックスワーク」が日本国内で何を指すのかの具体性が分かりづらい フーゾクワーク(fuzoku work)でよいのでは? また、強制労働なのか自由対等関係なのかもわかりにくい、共通認識がない、議論する上で気をつけたい

90年代 売春は是か非か、搾取か自由意志か、の2項対立、議論が現場に関係しない 10年代 「貧困と風俗」視点の登場 そもそも2項に割り切れない現状の指摘 どちらにもグラデーションがある そもそも当事者1人の中でも揺れている 今ならパパ活、いろいろな個々の実態が研究されるようになってきた

しかし! なぜか主要なユーザーであるヘテロ男子についての研究が少ない! 特に雑誌・書籍では、中身では男性側の分析をしていても、タイトルは全部「女子」になっている

性風俗利用者の匿名性、ヘテロ男性性欲の自然化・単純化 「買うヘテロ男子は何も考えていない」、考えてないはずがなく、語る語彙を持っていない 「性欲の処理」「モテないから」「犯罪抑止」男子側の3大理由、語る語彙なのか?

ちゃんと分析しなければ、加害問題の解決につながらない!

「身体を売る」概念 本当に売買したら犯罪、そうでないのに「売る」「買う」と使う 時間やサービスを売っているはずなのに、「身体」というのは、性産業への印象づけでしかない 一方、学問の世界では「性の商品化」 TENGAや女性用振動棒は商品化でないの? マッチョカフェは性じゃないの?

以上を問題提起としたい

「セックスワーカーの『脆弱な立場』の濫用問題〜何がハームでリスクか〜」要友紀子(SWASH代表)

SWASH活動紹介
性感染症予防啓発資材の作成(当事者向け、利用者向け)
現場講習会(悪い客への対処方法などの実践)
相談カフェ(人気風俗嬢による稼ぎのハウツーが人気)
スキルシェアワークショップ(意識高い系、感染経験)
風俗店オーナー・保健師研修(悪質客対処、安全な労働環境、相談員へのレクチャー)
アドボカシー活動(警察や議会への要望、アドボケーター養成講座)
イベント(TRP、SLUT WALK)
国際ネットワークへの参加

セックスワークを安全にする、とは?
仕事上のいやな経験を減らすこと
「したい人、したくない人」という二分法は意味がない
これまでは「なぜやり始めたのか」「なぜ抜けられないのか」の過去と未来にしか関心がなかった
「今を安全にする」ことをする

セックスワークの重層的困難
ハイリスク:孤立、裏風俗、サバイバー、マイノリティー
リスク:家族や友人にないしょ、非店舗型、援交もここ(自己責任にされる)
ローリスク:家族や友人が知っている、店舗型

セックスワーカーの意識調査やホットラインのランキングは、実施している団体のアナウンスによってガラリと変わるので、1つのランキングを信じてはならない
SWASHの場合は労働問題として取り組むので、福祉やフェミニズムの話題は少なくなる

法的フレーム・社会的フレームによるセックスワーカーの不安全
法的フレームを強化すると、アンダーグラウンド化によって被害が深刻化する
外国人ワーカーの取締強化で結婚ビザ偽装に流れ、これは国家による侵害レベル
JKビジネスを取り締まると、非店舗化が進み客との外出が増え本人が補導される、個人売春化も進む

「一般婦女子の参入防止活動」と「当事者支援活動」は違う
支援→労働環境の改善=店舗への研修をする
流入の阻止→見回りパトロールや居場所づくり

困難のうちの一部だけが焦点化される問題
相談に来た当事者は、その相手にわかってもらいやすいように選んで話をする、スティグマを避けるように話をする
たとえば「誇りを持って風俗やってます」と相談相手に言ったらどう反応されるか、だからそうは言わない

セックスワーカー支援団体

反差別+当事者全体
当事者+アドボカシー
当事者+課題解決+アドボカシー(SWASH)
当事者+課題解決
非当事者+課題解決

非当事者中心の活動は「脱セックスワーク」になりがち(世界的傾向)
当事者中心の活動はそれもやるけど「セックスワーク安全化」がメイン

「セックスワークの世界からみるトランスジェンダーの性」畑野とまと(トランスジェンダー活動家・TGJP代表)

トランスジェンダーのAVが最近大流行

トランスジェンダーは社会的に「奇異」とされ、セックスワークと親和性が高くなる
1966年 コンプトンズカフェテリアの暴動
テンダーロイン地域、3点以上異性のものを身に着けていると違法な時代、唯一入れてくれたファミレス
トランスジェンダーのたまり場に
店が警察に取り締まりを要求、やってきた警察に暴動
事後、警察や教会にも協力者が現れ、トランスジェンダーIDの発行、全米初の支援グループ結成

ストーンウォール反乱時代のゲイリブの主要活動家はすべてセックスワーカー出身

日本でも80年代より前のトランスジェンダーセックスワーカーは街娼がほとんど
その後ニューハーフ専門の風俗店が登場
90年代にはトランスジェンダー風俗専門誌もできる 風営法改変で無店舗型が増えた(独立して店を開きやすくなった)
00年代初頭は大きな店でも在籍10名、全国で200名程度
現在はチェーン店もあり延べ2000名は居るのでは(たぶん重複除いて1600人程度)
地方だとシス女性のキャストの中にニューハーフが(公然と)混じっていてNo.1だったりもする

ニューハーフ風俗は基本はシス女性の風俗店と同じサービス
ただし自身のPを使ったサービスがある(逆穴留など)

20年前と今のニューハーフ風俗嬢のプロフィールの紹介の差異は、現在は「Pのサイズ」が明記されていること
今はそこが重視される
東日本の店舗プロフ統計では、TSありホルモンありが52%で最多、男の娘(TSありホルなし)が31%で2位
ホルなしだとPが最もよく使えるからではないか?
「××ちゃんが卒業します」=手術する=この商売を続けなくなる

いっぽう、トランス男性はセックスワーカーとして数字が出ていない
が、出会い系掲示板を使って個人営業しているトランス男性が複数居る

近年、海外出身のトランス女性の街娼が増えている(横浜など)
セックスワーカーのコミュニティーとも、セクマイコミュニティーともつながれていないこれらの人たちは危険な仕事をするしかない

アメリカの研究では、HIV感染リスクはトランス女性はシス女性の49倍(シスゲイ男性10倍、麻薬依存症者24倍)
最大の理由は、セーフセックスの知識がトランス女性に伝わっていないことでは?
過去11年間で2982人のトランスジェンダーが殺されている、うち62%がセックスワーカー

「セックスワーカーをジェンダークリニックで見かけませんよ?」と言われる
隠しているかもしれないし、そもそも行っていないのでは?

質疑:なぜ?
→ホルモン療法は医師を開拓済みなので不要
→GIDガイドライン1版から除外された恨み
→オペや美のためにお金がかかる、GID治療にお金かけたくない

質疑応答
・セックスについては「性感染症」かつ「改善成果出す」でないと補助金が出ない、事業にも補助金が出ない
・ラベリングやめよう、当事者は多様です
・ニューハーフが10倍というが客は?
→おそらく10倍
・裾野が広がると底辺層が食えなくなるのでは?
→そう、SMなどでも同じ現象が起きている

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