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2007/12/27

なぜ東京近郊区間最長O型大回りの営業キロ合計は788.6kmなのか

東京近郊区間最長O型大回りルートにおいて、特例による複乗を組み込み、「6の字大回り問題」を回避した場合の営業キロ通算の最長は788.6kmとなります。
一方、このルート上には「全国最短O型きっぷ」となる「御茶ノ水-神田-秋葉原-御茶ノ水」というO型ルートが存在し、このきっぷを買って「最長O型大回りルート」に乗る、というのは、O型きっぷマニア(というのはたぶん全宇宙で私しかいませんが)にとって無上のよろこびです。笑

この「複乗あり最長ルート」では、日暮里-東京間で特定分岐区間通過特例(規程149条)による・また神田-東京間で分岐駅通過列車特例(規程151条)による複乗を行うことで距離を稼ぎます。
しかし後者は、「分岐駅となる神田駅を通過する列車」に乗車しなければ行使することができません(前者は普通乗車券の場合常に行使できる:ただしこの特例は、東北新幹線が東京近郊区間でなくなった現在は旅客利便性を失っており、いつ上野まで短縮されてもおかしくありません)。
そして「神田駅を通過する列車」は、朝に上り・夜遅くに下りの運転がある中央線特急、および昼間に快速運転を行う京浜東北線のみです(前述のとおり、各種新幹線は近郊区間外のため乗車できません)。

だがしかし、そもそも最長O型大回りルートは、複乗をまったく行わなかったとしても1日の間に回り切ることができず、終夜運転の活用が必須となるにもかかわらず、京浜東北線の快速運転はこの期間には行われないのです!

ということで、この複乗のためには東京発着の特急を利用するしかなく、これらはすべて御茶ノ水駅に停車しません。
よって「全国最短O型きっぷ」を使い、かつ中央線特急に乗るには秋葉原または神田を発着駅とする他ないのですが、しかしそうすると今度は、日暮里-東京の複乗を行った時点で、「6の字大回り問題」に類似の事態=「経路の途中で、目的駅を通ってしまう」という問題が発生してしまいます。

これらのことから、(マイ実乗ルールをきちんと当てはめれば)「全国最短O型きっぷ」は「最長O型大回りルートの実乗」のためには利用できず、次善の策として「ルート上でキロ数の短さ次点」となる「錦糸町-秋葉原-東京-錦糸町」というきっぷを使うこととなりました

……とここまでは経緯のまとめ。
一方の「特例による複乗アリでの最長O型ルート」は、なぜ788.6kmであると言い切れるのか?
SWAさん謹製のLOP toolkitをO型用に改造したスクリプトで、複乗なしでの最長O型ルートは、今回のルートに複乗部分を加えない、774.4kmと計算されていますが、複乗は特殊ルールのため定式化が難しく、今回は相当ad hocな計算を繰り返すことで、これが最長であることを確認してあります。
以下、その確認の過程をメモにして公開しますが、あまりにマイナーかつ煩雑な話なので、詳細は興味のある方のみお読みくださいませ。。。

特例を列挙

まず、東京近郊区間内で、規則上および計算上、区間外乗車可能な区間および往復の営業キロは以下のとおりです。(左側が分岐先、中央が分岐駅、右側が区間外乗車可能な限界駅)

  • 常に利用可能
    • 常磐線・東北本線-日暮里-東京 11.6km
    • 尾久・それ以外-日暮里-上野 4.4km
    • 新川崎または西大井・それ以外-鶴見-横浜 14.2km
    • 湘南新宿ライン・田町以遠-品川-大崎 4.0km
  • 分岐駅を通過する列車に乗る場合のみ利用可能
    • 八高線・高崎線-倉賀野-高崎 8.8km
    • 横浜線・東海道本線-東神奈川-横浜 3.6km
    • 中央線・山手線または京浜東北線-神田-東京 2.6km
    • 中央線・山手線または湘南新宿ライン-代々木-新宿 1.4km

LOP toolkit(改)で求めた複乗なしの最長ルートは774.4kmとなり、このルート上では上記一覧のうち日暮里-東京および神田-東京が該当し、それらを加えた実乗キロ数合計は774.4+11.6+2.6=788.6kmということになります。
これが最長か否かを(「たぶんこれが最長だろう」という予測のもと、厳密さを損なわずに)確認するには、他の特例が成り立ち得る最長ルートをそれぞれ求め、その各々に別の特例を適用する、という作業を行わねばなりません。

ここで注意すべきは、「特例Aを必ず使う条件で求めたルート上に存在するすべての特例を加算して788.6kmと比較する」という手法は誤りであることです。例えばそのルートで特例Bが使え特例CDEが使えなかったとして、複乗なしにおけるそのルートの次点となるルートで特例BCDEすべてが使えたことによって総計が逆転することがあり得るからです。

鶴見-東神奈川-横浜の特例は利用できない

以下、788.6kmのルートを「暫定最長」とします。
まず、数値を稼げそうなところで、鶴見-横浜間を見てみます。

この特例はいわゆる「日暮里・鶴見問題」含みのため、発着駅は新川崎駅または西大井駅に限られてしまいますが、O型きっぷの場合、逆にそこから開始すればよいだけなので問題になりません(唯一、両方を同時に満たすことができないだけ)。

これを利用するためには、品川-東海道3-鶴見を通り、川崎-東海道-鶴見または鶴見-浜川崎-尻手のいずれかを必ず通る条件式を付け加えればよいわけです。(枝1=1かつ枝2+枝3=1という条件式になります)
そしてこの条件での複乗なし最長O型ルートを求めたところ、723.6kmとなりました。
このうち長い方の後者に、これ以外の全特例(重複する日暮里-上野・東神奈川-横浜を除く)の往復キロを単純にすべて加算しても766.2km。つまり、この特例を用いた任意のルートは「暫定最長」を超えません。

次に、上例と一部重複する東神奈川-横浜について、新横浜-東神奈川および東神奈川-鶴見を必ず通るように計算したところ最長ルートは738.9km(なおこの条件式は、そのまま「新川崎または西大井-横浜-横浜線」という特例を内包していますので、そちらを考察する必要はありません)。これに全特例(日暮里-上野・鶴見-横浜を除く)を加算しても770.9kmで、やはり「暫定最長」を超えません。

というわけで、まずこれら2考察から、鶴見-横浜・東神奈川-横浜の2特例は、ルート上に含んでいた場合に「暫定最長」を超えない、すなわちまったく利用できないことがわかりました。
よって以降の考察では、特例のうちのこの2つはすべて「単純加算」から除外できることとなります。

尾久駅発着の特例は片側のみ考えればよい

続きまして、「日暮里・鶴見問題」の片割れである、尾久駅を発着とする場合を考えてみます。
この場合、尾久駅は分岐点ではないので、尾久駅発着=尾久駅通過として計算すれば問題ありません。つまり、赤羽-東北2-日暮里および、日暮里-田端または日暮里-新松戸を必ず通るという条件を加えて計算します。
ここは結果論的に、まとめた条件式とせず計算しますと、日暮里-田端を通過する場合の結果は759.9km。これに重複を除いた日暮里-上野・品川-代々木・倉賀野-高崎・神田-東京・代々木-新宿の合計21.2kmを加えると781.1kmとなり、きわどいところですが「暫定最長」は超えていないため最長にはなりません。
一方、日暮里-新松戸を通る条件では768.8km+21.2=790.0kmとなり、この場合は個別計算が必要となります。

日暮里-東京の特例で絞り込み

これも含めて以降、結果論としては単純に処理ができません。
尾久通過の場合は別途考えることとし、尾久を通過しない場合の特例でしかも長距離である日暮里-東京について、分岐点としての日暮里に着目します。
日暮里から出ている枝は4本ありまして、尾久通過を除外した3本の枝のうち「どれも通過しないかうち2本を通過するか」という組み合わせとなりますので、それらについてad hocに考えてみます。
「暫定最長」は、複乗なしであれば田端-日暮里-新松戸ルートですので、これがおそらく最長でもあろうという予想から、それ以外のパターンについて考えます。すると、3本の枝のうち上記以外のものは「まったく通過しないか日暮里-秋葉原を必ず通過するかのどちらか」です。

まず「まったく通過しない」ですが、これは757.1kmとなりました。
これは日暮里-東京の特例利用不可となりますので、単純加算すべき品川-大崎・倉賀野-高崎・神田-東京・代々木-新宿の合計16.8kmを加えて773.9kmで不可です。
次に「日暮里-秋葉原を必ず通る」ですが、このルートは複乗なしで772.6kmであり、単純加算すると「暫定最長」を超えるため個別対処が必要です。

というわけで、結論としては、「(A)田端-日暮里-新松戸を通り、日暮里-東京複乗を加算できる」、「(B)尾久-日暮里-新松戸を通り、日暮里-上野複乗を加算できる」「(C)日暮里-秋葉原を通り、日暮里-東京・上野複乗を加算できない」かのいずれかが候補となりましたので、それを前提としつつ、残りの4特例について個別で考察をしていきます。

倉賀野-高崎の特例も利用できない

倉賀野-高崎複乗を利用する場合ですが、条件として「高麗川-倉賀野および倉賀野-熊谷を通り倉賀野-高崎を通らない」を加えますと、最長は758.9kmとなります。これに条件の複乗分を加えて767.7km。
このルートはそれ自身が(A)となっていますが、もしこの条件での複乗なし最長ルートよりわずかに短い(C)のルートがあったとしても、その合計は少なくとも758.9+16.8=775.7kmより小さくなるため、NGとなります。
残る(B)を条件に追加して計算すると753.3kmとなりこれに複乗を加えて753.3+16.8+4.4=774.5km、これもNGです。
一方、(A)での個別計算ですが(この場合、複乗分は最大で16.8+11.6=28.4km)、このルートは神田-東京間複乗の条件を含んでいるためまずそれ以外を計算したところ、「倉賀野-高崎を複乗かつ(A)」で品川-大崎複乗可能条件を含むと674.1km、代々木-新宿を含むと744.5kmでいずれもNG。
つまりここまでで、「倉賀野-高崎を複乗」という前提の場合、さらなる絞り込みとしては「(B)」「(C)」「(A)かつ品川-大崎複乗」「(A)かつ代々木-新宿複乗」のいずれもがNGであるため、可能性があるのは「(A)かつ品川-大崎複乗なしかつ代々木-新宿複乗なし」のみとなります。ところがこれはまさに計算した767.7kmに日暮里-東京および神田-東京の複乗を加算したものが最高で、それは767.7km+11.6+2.6=781.9kmですから、結果として「倉賀野-高崎間複乗」はあらゆる場合で「暫定最長」を超えられません。

残りは総当たり戦

残るは倉賀野-高崎複乗を利用しないパターンです。これには「倉賀野を全く通過しない」「倉賀野-高崎を通る」の2通りがありますが、後者はまさに「暫定最長」パターンなので前者のみ計算し、658.3kmで論外です。

これで残るは「倉賀野-高崎を通り、(A)(B)(C)のいずれか」です。残る特例は3区間・総計8.0kmで、これらについて総当たり戦を行います。

  • (A)&品川-大崎 724.7km+8.0+11.6=744.3km
  • (B)&品川-大崎 717.3km+8.0+4.4=729.7km
  • (C)&品川-大崎 740.0km+8.0=748.0km
  • (A)&代々木-新宿 750.0km+8.0+11.6=769.6km
  • (B)&代々木-新宿 759.9km+8.0+4.4=772.3km
  • (C)&代々木-新宿 765.5km+8.0=773.5km
  • (A)&神田-東京 774.4km+8.0+11.6=794.0km
  • (B)&神田-東京 759.9km+8.0+4.4=772.3km
  • (C)&神田-東京 765.5km+8.0=773.5km
  • (A)&いずれも利用しない 773.3km+11.6=784.9km
  • (B)&いずれも利用しない 758.8km+4.4=763.2km
  • (C)&いずれも利用しない 772.6km
これらのうち、「暫定最長」より大きい可能性があるのは、(要するに「暫定最長」を含む)「(A)かつ神田-東京利用」のみ、ということになります。
しかし、この「(A)かつ神田-東京」ですが、この中であり得るルートには、残る2区間はいずれも含まれていません。残る2区間のいずれかのみが含まれているだけで、「暫定最長」を下回ってしまうのですから。
つまり「(A)かつ神田-東京」の中に存在する「真の最長」は、「日暮里-東京および神田-東京のみを利用し、他の特例は利用しない」というものであるはずです。
これはまさに、「暫定最長」そのものです。
よって「暫定最長」こそが「真の最長」そのものである、と結論付けられました。

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