→超軽量簡易版はこちら

2009/05/05

通過連絡を含む全国最長O型ルートは2通りの結果に分岐

営業キロ最長 運賃最高

体調すぐれず引きこもってまして、昨日からまる2日かけて(ただし半分くらい寝てまして実質1日分)、通過連絡を含む「真の全国最長O型きっぷ」を追い求めましたが、これが驚愕の結果となりました。

  • 営業キロベースでは、北近畿タンゴ鉄道の豊岡-西舞鶴間を経由するルートが最長で、南岩国-下松間各駅を発着とした場合の総計8306.4km。(JR線運賃計算キロ8487.3km)
  • 運賃額ベースでは、あまりに高額な社線運賃の結果、従来ルートの盛岡-八戸間を並行3セクに置き換えたルートが最高額で、運賃69740円。(営業キロ計8216.8km、JR線運賃計算キロ8384.8km)

すなわち、営業キロ最長と運賃最高でルートが変化することになった次第です。

これまで、JR線完結のO型きっぷは運賃計算キロベースで、社線を含み得るO型きっぷについては営業キロベースで考えてきました。
「きっぷ」を主役とする以上、JRにおいては額面が高くなる運賃計算キロで「最長」「最短」を算出し、金額が最短より安くなる「最安」も考慮する。一方、運賃設定が千差万別で運賃計算キロ概念(キロ単価を極力均一にするための策)が意味をなさない民鉄込みでのルート計算においては、役所が認定する唯一の統一基準とも言える営業キロをベースに計算する。この柱でこれまで計算・実乗をしてきました。

そして今回の算出では、社線を含む以上、後者での計算が当然とも思えます。
しかし、通過連絡を1区間に限る、という現状(における保守的な解釈)からして、実際のキロ数はJ>>社線となることは間違いなく、これにより営業キロと運賃計算キロとの乖離が大きくなり、「JR最高」とのズレが大きくなってしまうのではないか? という危惧を当初覚えたのです。
ならば両方算出してみよう、ということで計算をしてみたのですが、しかし実際には、営業キロベースの方が金額ベースよりもルートの乖離が激しくなった、という次第です。
まさに、危惧の差を社線運賃の高さが埋めた、そんなかっこうになってしまいました。

両ルートを見比べますと、というか「運賃最高」は「JR最長」と青い森&IGRのみ異なっているだけなので、「営業キロ最長」と「JR最長」との差異として考えますと、やはり北近畿タンゴがルーティングに際して莫大な意味を持っていることがわかります。
すなわち、まさにSWAさんが全探索でのテクニックとして真っ先に挙げたとおり、JR線に限れば、和田山-福知山・姫路-加古川の2区間の両側を結ぶ枝はこの2本しかない、という事実です。北海道から九州まで抜ける普通の最長ルートの場合、この枝2本のうち「必ず1本を通る」ということになりますが、O型ルートの場合、そこそこキロのある西側を放棄することは考えにくく、ということはこの枝2本は必ず通るということになります。
しかしここで、北近畿タンゴ宮津線を通過できることになると、枝は3本になり、それらのうち2本を通ればよくなります。そしてその結果、通らなくなる1本に隣接する複雑なルートをう回することで距離を稼ぐことができるのです。
実際に上記の図を見比べれば一目瞭然。北近畿タンゴルートでは、メインルートを鳥取-豊岡-宮津-西舞鶴と姫路-和田山-福知山-綾部-京都とし、残る姫路-加古川に隣接する山陽本線-加古川線-福知山線というループを大阪近郊区間内でのう回にからめて採ることができ、営業キロ計を100km延ばすことができました。

それにしても、その100kmをひっくり返すIGR・青い森の運賃って…(^o^;;;)
なにせ盛岡-八戸間で2960円。新幹線で特定特急券買っても3410円で、所要時間はお話にならないくらい違うのにほとんど変わらないっていう。。。

Microsoft Excel Sheet
今回は、手間のかかる計算をするためにExcelを活用しました。
といっても私はExcelが使えないプログラマとして有名でして(にがわらい)、このシートでも計算式は四則計算と丸め関数しか使ってません(^^;;)。
ちなみにJR線運賃を計算するセルの式は =ROUND(ROUND((INT((<距離10倍>-6000)/400)*40+20)*7.05+8715,-2)*1.05,-1) です。

SWAさん作の LOP toolkit はループ除去を力技で行う戦術ですが、「最長のループのみを残す」O型での計算については、全国レベルでの計算で無用なループが多発するためか実用的な結果は得られません。
そのため、全国をおなじみ3枝(富山-糸魚川、多治見-塩尻、三河安城)で分割し、それらのうち2本を終端とするLee型ルートを計算し、結果を結合し比較の上求めています。
もちろん念のため、3枝で分断された両側それぞれのO型最長も求め、それらよりも上記ルートの方が長いことも確認しています。

運賃最長については、運賃式を最適化式に組み込めばよいのですが(キロを現行の10倍から100000倍に変更して運賃計算式をつくり、それに社線運賃を加算する式を目的関数にすればよいはず)、toolkit 自体を2本化するのもなぁと(頭を使うことを)避けまして、結局、可能性のある社線経路ごとに「その線のみ必ず通る」制約を設定の上で計算分けしてExcek集計、ということにしました。

しかしこれ、なかなか興味深いシートになりました。
JR線のみで見ると、他に比して明らかに劣勢そうな伊勢鉄道経由が意外に長距離になってたり、IGR・花輪線経由が意外に短いなぁ(O型だからそうなってしまう)とか。
ただ、やっぱりこうしてみて改めてorzなのは、南岩国-下松間発着とした場合、JR最長のお値段が変わるという事実でしょう。涙

オマケ1:その南岩国-下松間発着問題

いずれの最長ルートも経由している岩国-櫛ヶ浜間は規69条 経路特定区間となり、山陽本線に乗車する場合でも(新幹線に乗車する場合ですら)、岩徳線経由での運賃計算が強制されます。
ただし規69条には除外規定があり、

  1. その旅客運賃・料金計算経路が当該各号末尾のかつこ内の両線路にまたがる場合(但し書き)
  2. 規定する区間の一方の経路を通過した後、再び同区間内の他の経路を乗車する場合(基109条)
  3. そもそも当該区間を通過していない(同条対象外)

そしてまさに、この3つめを最長ルートに適用さすための技(技なのかよ)こそが、「南岩国-下松間の各駅を発着駅にする」という技なのです。

今のところ、全国最長・JR最長・JR西日本最長がすべて同区間を通過しており、これらを真に最長ルートにするためには、発着駅が限定されてしまうのです。
これ、東京から実乗に出向くにはなかなか高いハードルだったりします。涙

オマケ2:大阪環状線問題

今回はじめて遭遇したのが、やはり規69条に関連するこの問題。
営業キロ全国最長ルートは、以下の経路を含みます。

(木津)片町線(京橋)JR東西(尼崎)福知山線(谷川)加古川線(加古川)山陽・西明石乗換・新幹線・新大阪乗換・大阪環状2(新今宮)関西(奈良)

このルートで、新大阪-天王寺間に規69条は適用されるのか、という問題です。
上記2つめの除外規定にある「通過」とは、経路上の1駅を交差し通り過ぎた場合にも成り立つのか、という論点があり得ます。
もちろん基109条の制定趣旨=「複数ルートを含む区間を1本の太い(?)経路と考えるのが規69条および70条の解釈、その太線を2度通過する場合は複乗になってしまうので、適用しなければ複乗にならない場合は適用しないようにできる」ということからすれば、このような「1駅交差」の場合にも基105条を適用すべきかとは思いますが…
もし成り立たないとすれば、新大阪-天王寺間は京橋経由での計算となり、運賃計算キロが0.3km減少します。一応、簡単に調べた限りでは、この減少が最長ルートそのものには影響を及ぼしそうにないようです。

この記事へのトラックバック

トラックバックはありません。

この記事へのトラックバックURL

http://feelfine.blog.izumichan.com/trackback/tb.php?id=24921

この記事へのコメント

コメントはありません。

Post Your Comment


*は入力必須です。E-Mailは公開されません。